宅地建物取引業保証協会とは

宅地建物取引業保証協会とは、宅建業者だけを社員とする民法上の社団法人である。
顧客に損害を与えたときは、その顧客は、社員（出資者）である宅建業者全員が供託した弁済業務保証金（弁済業務保証金分担金）によって賠償を受ける。
顧客の保護が、宅地建物取引業保証協会の制度の趣旨である。

保証協会の指定

保証協会は、国土交通大臣が指定する。要件は以下のとおり。
1)一定の欠格事由がない
2)民法34条の規定により設立された社団法人
3)宅建業者のみを社員とする

保証協会の業務

1)必要的業務（必ず行う）
・苦情の解決
・宅建業に関する研修
・弁済業務（中心で重要な業務）

2)任意的業務（任意で行う）
・一般保証業務
・手付金保管業務
・宅建業の健全な発展を図るために必要な業務

社員の加入

保証協会の社員になろうとする宅建業者は、加入日までに一定額の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付。
保証協会は、社員が加入した時は、直ちにその旨を、その社員に宅建業免許を与えた国土交通大臣か都道府県知事に報告する。

保証協会に対する監督と指定の取消

1)保証協会に対する監督
国土交通大臣は、必要に応じて、保証協会に対し、業務に関する報告や資料の提出を命じ、または立入検査をさせることができる。
また、保証協会の役員の選任、解任、解散の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ効力を生じない。

2)指定の取消
国土交通大臣は、次の事由の場合、公開聴聞後、保証協会の指定を取消できる。
・弁済業務を適切、確実に実施できないとき
・宅建業法または宅建業法に基づく命令に違反したとき
・宅建業法による改善命令または解任命令の処分に違反したとき

保証協会への社員の加入

1)新規加入の場合
保証協会の社員になるための弁済業務保証金分担金は、宅建業者の主たる事務所につき60万円、その他の事務所について事務所ごとに30万円。
金銭のみで、有価証券は認められない。
保証協会の社員となった宅建業者は、供託所への営業保証金を供託する必要はなく免除される。
保証協会は、分担金の納付後、1週間以内に、分担金の額を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に供託。
その後、保証協会は、供託書の写しを添付して、国土交通大臣または都道府県知事に供託した旨を届け出る。

2)保証協会の社員の事務所増設の場合
保証協会の社員が、新たに事務所設置の場合、設置した日から2週間以内に増設した事務所の分の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付する。
期限までに追加納付しない場合、保証協会の社員の地位を失い、業務停止処分の対象となる。

弁済業務保証金の還付

保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者は、その取引による債権に関し、その社員が社員出なかった場合に供託すべき営業保証金の額を限度に、弁済業務保証金から弁済される。

還付の手続きと還付後の処理は以下。
1)認証
還付請求権者は、まず保証協会の認証を受けなければならない。
・還付請求権の発生原因となった事実
・取引成立時期
・認証を申し出るに至った経緯
を記載した書面を添付して提出。

2)還付された場合、保証協会は、国土交通大臣からの還付通知書の送付を受けた日から2週間以内に、還付された額に相当する弁済業務保証金を供託しなければならない。

3)還付充当金の納付
還付された場合、保証協会はその還付にかかる社員に、還付額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付すべきことを通知。

4)還付充当金の納付がなかったとき
通知を受けた日から2週間以内に還付充当金を保証協会に納付したかった場合、その社員は社員としての地位を失う。
業務継続する場合、社員の地位を失った日から1週間以内に主たる事務所の最寄りの供託所に必要額の営業保証金を供託して、その旨を免許権者に届出。その後業務再開。

弁済業務保証金の取戻し

保証協会は、社員の宅建業者が社員でなくなった時は、弁済業務保証金を取り戻して分担金を宅建業者に返還する。
その際は、還付請求権者に対して、6ヶ月以上の期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければならない。

弁済業務保証金準備金・特別弁済業務保証金分担金

1)弁済業務保証金準備金
保証協会は、還付充当金を納付しない宅建業者に備えて、弁済業務保証金準備金を積み立てておかなければならない。

2)特別弁済業務保証金分担金
弁済業務保証金準備金を充ててもなお不足の場合、保証協会は、全社員に対して、弁済業務保証金分担金の額に応じた特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨を通知する。
保証協会の社員は、この通知を受けた日から1ヶ月以内に特別弁済業務保証金分担金を納付しなければならない。しないと、地位を失う。