無権代理とは

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無権代理とは、代理権を与えられていないのに代理人として代理行為を行うこと。
無権代理行為は、原則として法律効果が本人に及ばない。
ただし、本人は追認権と追認拒絶権を持ち、相手方には催告権、取消権と無権代理人に対する責任追及が認められる。
無権代理行為は本人との間では無効だが、無権代理人と相手方との間では有効。

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本人の追認権

本人は無権代理行為を追認でき、最初から有効な代理行為となる。→追認の遡及効
別段の意思表示、追認により第三者の権利を侵害、の場合には遡及効は制限される。
本人に無権代理行為は、追認を拒絶できる。または放置しておけば法律効果は本人に帰属しない。

相手方の催告権・取消権

無権代理行為の相手方には、本人に対する催告権が認められている。
相当の期間を定め、追認するか否かを催告でき、本人から期間内に返事がなければ、本人は追認を拒絶したとみなされる。
相手方が善意(無権代理人に代理権がないことを知らない)の場合、本人の追認前なら取消可能。→取消権

無権代理人の責任追及

本人が追認しない場合は、以下の5つの条件を備えれば、相手方は無権代理人に対して責任(履行または損害賠償)を追及できる。

1)代理人が代理権の存在を証明できない
2)本人が追認しない
3)相手方が善意無過失(無権代理人に代理権がないことを過失なく知らないこと)
4)無権代理人が行為能力者であること
5)相手方が取消前であること

無権代理と相続

本人Bの配偶者Aが無権代理人として、B所有の甲土地を相手方Cに売却した場合。

1)無権代理人Aが本人Bを相続
・AがBの唯一の相続人である場合
甲土地とともにBの追認拒絶権をAが相続する。
Bの死亡後、Aの気が変わって、Bから相続した追認拒絶権を行使して、Cへの甲土地売却を拒否した場合…
判例では、信義則に反するとして、Aの追認拒絶権の行使を認めない。Aは追認せねばならず、契約は有効。

・Aが他の相続人と共同相続の場合
無権代理人Aが相続した部分について、共同相続人全員の追認がない限り、当然には有効にならない。

2)本人Bが無権代理人Aを相続
本人Bは、無権代理行為の被害者として追認拒絶権を持っているので、BはCに追認拒絶権を行使できる。(信義則に反しない)

3)本人Bと無権代理人Aの間に子Dがいて、A死亡後にBも死亡
子DはAの無権代理人の責任を相続、さらにBの追認拒絶権を相続することとなる。
判例では、1)同様、Dは追認拒絶権を行使できない。

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