債務不履行とは・損害賠償

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債務不履行とは、債務者が正当な理由がないのに債務の履行をしないこと。
債務不履行の種類には、履行遅滞、履行不能、不完全履行がある。

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履行遅滞

債務者の故意・過失で履行が履行期に遅れること。

1)履行遅滞の要件
・履行期が到来
・履行可能なのに履行期に履行がない
・債務不履行が債務者の故意・過失に基づく
・債務不履行が違法であること

確定期限付きの債務:期限が到来したときから、債務者は遅滞の責任を負う。
不確定期限付きの債務:期限が到来したことを債務者が知ったときから、遅滞の責任を負う。
期限の定めのない債務:債務者は履行の請求を受けたときから遅滞の責任を負う。

消費貸借契約で期限の定めのない債務の場合、債権者が相当期間を定め催告し、その相当期間が経過時に履行期限となる。
消費貸借契約では、借りた物をいったん消費してしまうので、調達期間の猶予を与えようという趣旨。

2)履行遅滞の効果
履行の請求
損害賠償請求
契約解除権の発生(相当期間経過後)

3)定期行為の履行遅滞
履行期が定められていて、その期日に履行されないと価値のない債務。
結婚式当日のウェディングドレスの仕立てなど。
即時の契約解除が認められる。

履行不能

債務者の故意・過失により債務を履行できなくなった状態。

1)履行不能の要件
・債権成立後に履行が不能になったこと
・不能が債務者の故意・過失の事由よるもの

2)履行不能の効果
・契約の解除(履行遅滞と違い不能なので直ちに契約解除可能)
・損害賠償請求

不完全履行

履行期に履行がなされたが、その履行が不完全であったもの。
要件は、債務者の故意・過失、不完全履行が違法であることなど。
追完(追って完全な履行をする)が可能なら履行遅滞、不可能なら履行不能に準じる。

債務不履行に基づく損害賠償

1)損害賠償請求権
損害賠償は、金銭によって行うのが原則。(金銭賠償の原則)

・通常損害
損害賠償の範囲を通常生じる範囲として予測できる損害に限定。このような損害を通常損害という。

・特別損害
特別な事情の発生により損害がさらに拡大。これを特別損害という。
当事者が予見していたか、普通に注意していれば予見できた場合だけ、損害賠償の対象となる。

2)金銭債務に関する損害賠償の特則
一定額の金銭の支払いを目的とする債務を金銭債務という。
金銭債務では、履行不能はない。必ず履行遅滞となる。
また、金銭債務の場合、債務者に故意・過失がない場合でも、債務不履行責任を負わなければならない。
履行遅滞の場合の遅延利息の利率は、法定金利(民事は年5%、商事は年6%)。もしくは当事者が定めた約定利率。

3)損害賠償と過失相殺
債権者にも過失がある場合、裁判所が害賠償の金額を定める際に、債務者の責任を免除することもできる。(過失相殺)

4)損害賠償額の予定
契約締結の際に、損害賠償額について、あらかじめ当事者間で予定額を定めておく。

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