損害賠償額の予定・瑕疵担保責任

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宅建業者は、損害賠償額の予定、瑕疵担保責任、住宅品質確保法、割賦販売契約の解除、所有権留保等の禁止等に関する制限を受ける。
損害賠償額の予定とは、当事者の債務不履行での契約解除に伴う損害賠償額をあらかじめ予定しておく制度。

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損害賠償額の予定等の制限の趣旨

宅建業者自らが売り主となる不動産の売買契約では、損害賠償の予定額と違約金、合算で10分の2を超える定めはできない。
10分の2を超える部分の特約は無効となる。
実際に生じた損害額を立証する必要なく、また実際の損害額が予定額以下の場合でも、損害賠償の予定額を損害賠償額として請求できる。

瑕疵担保責任に関する特約の制限

宅建業者自ら売主となる宅地建物の売買契約では、瑕疵担保責任を負う期間について引渡から2年以上と定める場合を除き、民法の定めより買主に不利となる特約は定められない。
民法では、引渡から瑕疵の発見までは期間制限なし、瑕疵の発見から1年以内に瑕疵担保責任の追求と定めている。

民法の瑕疵担保責任の内容

売主が無過失でも、買主に負担したければならない責任が売主の瑕疵担保責任である。
目的物の隠れた瑕疵で買主が契約の目的を達せられないときは、契約の解除をできる。瑕疵発見から1年以内に、瑕疵担保責任の追求。

瑕疵担保責任に関する特約の制限の内容

民法の規定では契約当事者は対等の扱いであるため、売主の瑕疵担保責任についても、売主に有利な特約や売主は一切責任を負わない特約も認められる。
しかし、宅建業者と一般消費者の関係は対等ではないため、売主の瑕疵担保を排除することは禁止。さらに買主に不利となる特約も禁止。

住宅品質確保法との関係

住宅の品質確保の促進などに関する法律でも、建物の売買・請負の場合の瑕疵担保責任の特例が定められている。

1)新築住宅の構造耐力上主要な部分などの特例
新築住宅の構造耐力上主要な部分など(基本構造部分)の隠れた瑕疵については、買主は、引渡から10年間(最長20年)、請負人または売主に対して担保責任を追求できる。
損害倍増請求、契約の解除に加えて、瑕疵の補修も請求できる。

2)宅建業法との関係
宅建業法と住宅品質確保法は併存適用。
宅建業法や民法の瑕疵担保責任は、建物だけでなく土地にも適用。瑕疵の存在部位も全部に適用。さらに新築と中古の区別もない。
住宅品質確保法は新築住宅の基本構造部分の瑕疵に限定。

割賦販売契約の解除などの制限

賦払金支払義務が履行されない場合、30日以上の相当期間を定め書面で支払催告し、その期間内に支払義務が履行されない場合でなければ、
契約解除や支払時期未到来の賦払金の支払い請求をできない。
住宅ローンは長期契約であるため、せっかくの売主と買主の信頼関係を、買主の一度の不履行で消滅させるのはもったいないため。
そこで、売主に十分な期間の催告を要求し、買主に債務履行の機会を与えている。

所有権留保・譲渡担保の禁止

所有権留保とは、売主が目的物を引き渡した後、代金が完済されるまで、目的物の所有権を売主に留保すること。
譲渡担保とは、残代金債権を担保するために、所有権を債権者である売主に譲渡するもの。
宅建業法では、原則として所有権留保と譲渡担保を禁止している。

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