宅建業者の契約締結における規制

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宅建業者は、開発許可・建築確認などの法令に基づく許可の後でなければ、売買もしくは交換の契約を締結してはならない。
また、重要な事実の告知義務、手付貸与等による契約締結を誘引する行為や不当な勧誘などの禁止、秘密保持義務・契約書面の交付義務などの規制を受ける。

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契約締結時期の制限

1)契約締結時期の制限の内容
宅建業者は、工事完了前の宅地・建物については、開発許可(都市計画法29条)、建築確認(建築基準法6条1項)、その他の法令に基づく許可の後でなければ、その宅地・建物について売買・交換の契約を締結をしてはいけない。
広告の開始時期に関する制限と同じ趣旨であり、宅地建物が完成していればこの制限の適用なし。

2)制限を受ける行為
制限の対象は、宅地建物の売買・交換の契約。宅地・建物の賃借についてはこの制限の適用なし。

3)違反者に対する措置
違反した場合、罰則の定めはないが、監督処分として1年位内の業務全部または一部の停止処分(重ければ免許取消処分)を受けることがある。

重要な事実の告知義務

宅建業者は、次に該当する行為について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしてはならない。
1)宅建業法35条に定める重要事項説明書の記載事項
2)宅地建物取引業保証協会の社員でない場合は、営業保証金を供託した供託所及びその所在地
3)宅地建物取引業保証協会の社員である場合には、保証協会の名称・所在・事務所の所在地及び弁済業務保証金を供託した供託所及びその所在地
4)宅建業者37条に定める契約書面の記載事項
5)その他、相手方などの判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの

違反者は、業務停止処分(重いときは免許取消処分)、罰則として2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科。

手付貸与等による契約締結誘引の禁止

1)手付貸与等による契約締結誘引の禁止の内容
「お金がないなら、手付金にする金銭を貸してあげよう」、「手付は分割でいいよ」などといって、契約締結を誘引する行為は禁止。
誘引行為だけで違反、その結果契約が締結されたか否かは関係ない。

2)違反者に対する措置
業務停止処分(重いときは免許取消処分)のほか、6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科。

契約締結に関する不当な勧誘などの禁止

宅建業者が契約締結を勧誘する際に行なってはならない事項。
1)利益の発生について誤解を生じる断定的判断提供の禁止。
2)威迫行為の禁止。
3)将来の環境などについて誤解を生じる断定的判断提供の禁止。
4)正当な理由なく、契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならない。
5)電話による長時間の勧誘その他の私生活や業務を害するような方法により相手方を困惑させてはならない。
6)相手方などが契約の申し込みの撤回を行う際に、すでに受領した預り金の返還を拒んではならない。
7)相手方などが手付け放棄による契約解除を行う際に、正統な理由なく解除を拒み、または妨げることをしてはならない。

罰則の定めはないが、違反した場合、業務停止処分(重いときは免許取消処分)を受けることがある。

不当な履行遅延の禁止

宅建業者は、取引に際し、宅地建物の登記や引渡し、対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない。
不可抗力による遅延は問題にならない。
違反した場合は、業務停止処分(重いときは免許取消処分)を受けることがあり、6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科。

宅建業者の秘密保持義務

業務上知り得た秘密を漏らしてはいけない、宅建業をやめたあとも同様。
裁判での証言や徴税官吏の調査、知り得た秘密が他の取引相手に対して重要な事実として告知義務がある場合などは、秘密を漏らしても秘密保持義務違反とはならない。

契約書面(37条書面)の交付義務

1)売買・交換の場合の書面交付義務
宅建業者は宅地建物の売買交換の際、下記の相手に遅滞なく、一定の事項を記載した書面(37条書面:契約書面)を交付する。
・自ら売買・交換 – 相手方に
・代理 – 相手方及び代理の依頼者に
・媒介 – 契約の各当事者に

2)貸借の場合の書面交付義務
宅建業者は宅地建物の貸借の際、下記の相手に遅滞なく、一定の事項を記載した書面(37条書面:契約書面)を交付する。
・代理 – 相手方及び代理の依頼者に
・媒介 – 契約の各当事者に

3)取引士の記名押印
37条書面には取引士が記名押印する。ただし、説明は取引士でなくてもいい。

4)37条書面交付の趣旨
宅地建物の取引について、契約内容が不明瞭のために生ずる紛争をあらかじめ防止するため。
売買契約書に必要な記載事項があれば、契約書を37条書面の代わりにできる。

5)売買・交換の場合の37条書面の記載事項
必要的記載事項と任意的記載事項からなる。

6)貸借の場合の37条書面の記載事項
必要的記載事項と任意的記載事項からなる。

7)違反者に対する措置
1年以内の業務停止処分(重いときは免許取消処分)、罰則として50万円以下の罰金。

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