国土利用計画法とは・届出と区域

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国土利用計画法とは、地価の高騰の抑制を目的として、土地の投機的取引を監視するために高度経済成長期に制定された法律である。
現在では地価は落ち着いているので、一定の土地取引について事後届出制を導入して規制を緩めている。
ただし、将来の地価上昇に備え、注視区域や監視区域を指定できるようにしてる。

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国土利用計画法では、土地取引の規制として許可制を採用する規制区域と、届出制を採用するその他の区域(届出区域)の2つを定めている。
これまで規制区域が指定されたことはないので、以降は届出区域に限定した説明である。

届出の必要な取引

届出対象となる土地売買等の契約は、土地に関する「所有権、地上権、賃借権」と、これらの権利の取得を目的とする権利の移転または設定をする「契約」である。
贈与や相続による土地所有権の移転や、権利金等の一時金の授受のない土地賃借権の設定は、土地売買等の契約に該当しない。

土地売買等の契約に該当するもの。
・売買契約
・売買予約
・譲渡担保
・代物弁済・その予約
・交換
・共有持分権の有償譲渡
・予約完結権や買戻権の有償譲渡
・保留地の売却処分
・権利金の授受を伴う賃借権・地上権の設定
・賃借権・地上権の有償譲渡

土地売買等の取引を行う者は、注視区域または監視区域に指定されていれば事前に、それ以外の土地については事後に、
市町村長を経由して都道府県知事にその面積、予定対価の額、利用目的などを届出なければならない。

注視区域と監視区域

注視区域とは…
規制区域や監視区域以外の土地で、その地価が一定期間内に相当程度を超えて上昇し、または上昇の恐れのある区域について、都道府県知事が期間(5年以内)を定めて指定する区域である。

監視区域とは…
規制区域以外の土地で、その地価が急激に上昇しまたは上昇の恐れがあり、適正な土地利用が困難と認められる区域について、都道府県知事が期間(5年以内)を定めて指定する区域である。

事前届出

届出を要する面積については、一定面積以上の土地売買等の契約において、当事者(売主と買主、貸主と借主)は予め市町村長を経由して、予定対価の額や利用目的を都道府県知事に届出なければならない。
注視区域内では以下。
・市街化区域内の土地 →2000㎡以上
・市街化区域外の都市計画区域内 →5000㎡以上
・都市計画区域外の土地 →10000㎡以上

監視区域については、都道府県知事が届出をすべき面積を規則で定める。
監視区域のほうが規制が厳しいので、届出が必要な面積は小さくなる。

以下の場合、事前届出の適用除外。
・民事調停法や家事審判法による調停による場合
・民事訴訟法の和解による場合
・会社法、破産法、民事再生法等に基いて裁判所の許可を得て行う場合
・農地法3条の許可がある場合(5条許可の場合には重ねて届出必要)
・当事者の一方または双方が国または地方公共団体である場合

届出後の契約締結は、届出をした日から原則として6週間経過後からでないとできない。
事前届出を怠ると、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。

事後届出制の区域

注視区域にも監視区域にも(規制区域にも)指定されていない土地の区域では、面積が以下に該当するときは事後届出が必要。
・市街化区域内の土地 →2000㎡以上
・市街化区域外の都市計画区域内 →5000㎡以上
・都市計画区域外の土地 →10000㎡以上

権利取得者は契約締結日から2週間以内に、その利用目的や対価の額などを、市町村長を経由して都道府県知事に届出なければならない。
事後届出制の適用除外は、注視区域または監視区域内の適用除外事項と同じ。
事後届出を怠ると、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。
※事前届出は届出義務者は契約者双方だが、事後届出では届出義務者は権利取得者のみ。

届出に対する処分と勧告

・事前届出の場合
届出の予定対価が不適正、利用目的が土地利用基本計画等に適合しない場合には、都道府県知事は届出人に対し勧告を行える。
この勧告は、届出日から6週間以内にしなければならない。

・事後届出の場合
土地の利用目的が土地利用基本計画等に適合しないときは、勧告される場合がある。
土地の価格についての審査はなく、利用目的だけが審査対象となる。
この審査は、原則として届出日から3週間以内になされる。

一団の土地と届出の要否

・事前届出区域(注視区域・監視区域)の場合
届出必要面積に満たない土地の売買等の契約を締結する場合でも、当事者の一方または双方が、
届出必要面積以上の一団の土地について土地に関する権利の設定・移転を行う場合には、届出が必要となる。

例)市街化区域内での取引
A所有の甲土地1800㎡、B所有の乙土地1200㎡について、Cが同時期または違う時期に両方の土地を取得した場合…
=> AC、BCの個々の取引について届出が必要となる。

C所有の丙土地3000㎡について、Aが1800㎡取得し、Bが1200㎡取得した場合…
=> CA、CBの個々の取引について届出が必要となる。

・事後届出区域の場合
上の例でのAC、BCの取引と同様の場合は、個々について届出必要。
ただし、下の例でのCA、CBと同様の取引(土地を分割して別の人が各々を取得)では、届出不要。

遊休土地の通知

届出による取得後2年を経過した場合に、その土地が有効に利用されていないときには、「遊休土地」との通知を受ける。
通知を受けたものは、その土地についての利用または処分の計画を、6週間以内に市町村長を経由して都道府県知事に届出なければならない。

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