不動産登記とは・登記の効力
不動産登記とは、不動産の物理的現況を記録(表示の登記)、かつ権利の変動のすべてを記録(権利の登記)し、公示する制度である。
不動産登記に関する事項を定めた法律が不動産登記法である。
登記に関する定義
1)表示に関する登記(3号):不動産の場所や地番、地目、地積、家屋番号など。
2)権利に関する登記(4号):所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権の権利の保存等に関する登記。
3)登記記録(5号):電磁的記録。
4)表題部(7号):登記記録のうち、表示に関する記録の部分。
5)権利部(8号):登記記録のうち、権利に関する記録の部分。所有権についての甲区と、それ以外の乙区に区分。
6)表題部所有者(10号):所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に所有者として記録されている者。
7)登記名義人(11号):登記記録の権利部に権利者として記録されている者。
8)登記識別情報(14号):本人確認のための情報。
9)変更の登記(15号):登記事項に変更があった場合に、その登記事項を変更するための登記。
10)更生の登記(16号):登記事項に錯誤または遺漏があった場合に、その登記事項を訂正する登記。
11)表題登記(20号):表示に関する登記のうち、その不動産について表題部に最初にされる登記。
表示の登記と権利の登記
1)表示の登記と権利の登記
表示の登記には、土地なら所在・地番・地目・地積、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積などが記録される。
権利の登記は、所有権に関する登記(甲区)とそれ以外(乙区)に分かれる。
2)登記の効力
本登記には推定力と対抗力がある。仮登記には順位保全効が認められる。
権利の登記にか対抗力があるが、表示の登記には原則対抗力なし。
・第三者対抗力
権利の登記は誰のどんな権利が不動産に付着するかを、第三者に公示し対抗要件として機能する。
表示の登記には、借地借家法10条が規定する以外は、原則対抗要件としての機能はない。
表示の登記は、あくまでも不動産を識別し、現況を明らかにるための登記。
・登記の推定力
登記がされていれば、その権利関係は一応真実と推定される。
3)表示の登記と権利の登記の相違点
・申請義務
表示の頭位では、所有者には登記の申請義務が課せられ、登記の原因(建物新築・取壊し、土地取得など)が生じた日から1ヶ月以内に登記せねばならない。
権利の登記では申請義務はない。自分の権利を守りたければ登記すれば良い。
・職権による登記と当事者の意志に基づく登記
表示の登記は、当事者の意思、または登記官の職権でも行える。
権利の登記は、当事者の申請か官公署の嘱託がなければできない。
表示の登記、権利の登記ともオンラインや郵送による申請が可能。
登記の分類・登記の順位
1)登記の分類
主登記:独立した順位番号をつけてされる登記。
付記登記:主登記の順位番号に枝番号をつけて行われる登記。既存の権利登記を変更・更生、所有権以外の権利を移転、所有権以外の権利を目的とする権利の保存等の場合。
2)登記の順位
・申請の先後が明らかな場合
同一不動産についての主登記の順位は、法令の定めがある場合以外、登記の前後によって決定。
付記登記の順位は主登記の順位で決まり、また同一主登記に対する付記登記の順位は先後で決まる。
登記される順番は受付番号によって決まる。
甲区(所有権)と乙区(所有権以外)はそれぞれ別に順位番号が付けられるが、その先後は受付番号により知れる。
・申請の前後が不明の場合
別の申請方法で2以上の申請がされたり、郵送で同時に2以上の申請が届いたりなどの場合。
どちらが先か明らかでない時は、これらの申請は同時にされたものとみなし、同一の受付番号が付される。
互いに矛盾する登記(二重譲渡の場合など)の場合は、双方の申請がともに却下される。
- 不動産登記の申請手続き・必要書類
- 仮登記とは
- 区分建物の登記
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